2016/10/21 14:07 鳥取県中部 震度6弱 M6.6と電離層擾乱観測の相関検証
電離層擾乱観測についての説明は → こちら
本ページの図は海外での論文発表を予定しており、英語で記述しています。
ネコも地震を事前に感知する本能がある → こちら
【発生地震】
2016/10/21 | 14:07 | 鳥取県中部 | 震度6弱 | M6.6 | 速報値 |
【異常の状況】
Fig.1 に9/23(観測開始日)から10/21までのソウル→沼津間の朝夕のTerminator Time (以後TTという) の標準偏差Graphを示す。10/7頃から朝夕のσが徐々に大きくなり、10/17に最大の2.7になり、10/18から静穏になり、10/21大地震が発生した。
Fig.2 に9/21から10/21までの大阪→沼津間朝夕のTTの標準偏差Graphを示す。List-1にソウル→沼津間の朝夕のTT時刻を示す。
発生タイミング、σの大きくなる状況、手前の大阪からのデータには異常がないことからこの異常はこのたびの鳥取県中部の前兆ではなかったかと考える。
Fig.1
ソウル→沼津間
朝夕のTerminator Time の標準偏差Graph
【実際の受信状況】
Fig.3に24時間の受信電界Graph例を示す。縦軸は将来のデータ処理の都合で検波出力を直接mVで表示してある。08:00頃急激に電界が下がり始める点を朝のTT、18:00頃急激に電界が上がり始める点を夕方のTTと定義した。このパターンはほとんど毎日変化しない。ただしこのパターンは伝搬パスごとに変わる。
Fig.3
24時間の受信電界Graph例
【4.予測震源領域
Fig.4に伝搬パスと予測震源域を示す。赤直線で示すのがソウル→沼津間のパスで赤円が示すのはパスの中心点から半径150kmの予測震源域である。後述のようにMF帯の電波は電離層で1Hopしかしないと仮定し、予測震源域はM=6以上ではパスの中心から半径150km以内ではないかとの仮説を立てている。
鳥取地震を機に相模原でも青線、青円で示すソウル、釜山からのパスを増設した。
Fig.4
伝搬パスと予測震源域
【検証結果】
以上述べたようにAM放送波活用電離層擾乱観測方式は地震前兆をとらえることができる有望な方式の一つと考えられ、少ない観測点で全国をカバーできる廉価な観測方式といえる。しかし世界的にみるとAM放送はFM放送に切り替えられつつあり、世界的な普及には問題がある。
既に茨城県鉾田市、神奈川県相模原市、静岡県沼津市にて試験運用を開始している。NPO法人環境防災技術研究所の会員になっていただくか、観測点としてご協力いただければリアルタイムデータをご覧になれます。
連絡先: saito@jepcoc.jp
【謝辞】
本方式の技術検討にご指導いただいた椛$地震電磁気研究所の早川正士社長に感謝いたします。
【参考文献】
早川正士、芳原容英:VLF/LF送信局電波を用いた電離層擾乱観測に基づく地震予知研究
地震予知研究の最前線、日本専門図書出版、P.624